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 1月25日、中教審は文科大臣に対し、「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策」(以下、「答申」)を答申した。

 「答申」は、改訂「学習指導要領」の円滑な実施を最優先に、①学校及び教師が担う業務の明確化、②勤務時間を客観的に把握し集計するシステムの構築、③「1年単位の変形労働時間制」の導入、④「主幹教諭」の配置をはじめとした学校運営体制の見直し、⑤労働安全衛生管理体制の整備、などにとどまっており、教職員定数増や教員一人当たりの持ち授業時数の削減、時間外勤務手当化など問題の本質を改善する方策は示していない。
 また、文科省が策定した「時間外勤務時間の上限を45時間」とする「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン(以下、「ガイドライン」)は、何ら法的強制力のないものにとどまっている。これらは、何れも現状の抜本的な改善にはなり得ず、教職員の労働者としての権利を蔑ろにするもので許されない。
 とりわけ、「1年単位の変形労働時間制」導入は、現状の超勤実態を追認し恒常化させることで、むしろ現行の「給特法」以上に超勤を黙認して時間外勤務手当等不支給の違法を助長するシステムとなりかねないものである。また「ガイドライン」は、「部活動を含む週休日の在校時間等を勤務時間に加える」としたものの、「1日の勤務時間は7時間45分」とした「勤務時間条例」や「原則として時間外勤務は命じない」とした「給特条例」の規定を形骸化し、月45時間まで超勤を許容する二重基準となることが懸念されるものである。
 加えて、「学校及び教師が担う業務の明確化」は、本来担うべき業務を明確化した上でそれ以外の業務の主体を学校・教職員以外に移行していくとしているが、教職員以外の部活動指導員やスクールサポートスタッフなど配置数は極少数であり、きわめて不十分と言わざるを得ない。また、専門スタッフの人員確保について何ら担保されておらず、地方・郡部においては確保が困難な状況が生じることは明らかである。これら専門スタッフの導入は、賃金や処遇も不十分なもので、予算もかけない安上がりな施策であり、学校のあり方を変質させかねないものである。

 超勤・多忙化の要因は、教員の担当授業時数が多く、授業が正規の勤務時間の大半を占めて、正規の勤務時間内で授業以外の必要な仕事を処理することは困難であることにある。しかも教職員が超勤をして行っている業務は、子どもたちの学習権を保障するために何れも直ちに処理しなければならない差し迫った業務であり、その業務を行わないで済ますことはできないものばかりである。現状、教職員は過労死と隣り合わせと言っても過言ではない。2018年度「過労死等防止対策白書」においても、教員の平均勤務時間が11時間を超えるなど、「過労死ライン」を超えている異常な状態がはっきりしている。
 「答申」は、こうした現実を直視せず教職員の「働き方」に「効率と成果」を求め、「学習指導要領」改訂に伴う授業時数増に対して必要な教職員定数改善を行ってこなかったことなど根本的な問題を棚上げして、教職員の超勤の意識・自己責任の問題に矮小化している。そのため、超勤を助長する元凶となっている「給特法・条例」の時間外勤務手当・休日手当・割増賃金の不支給も一切見直さず、文科省が第一に行うべき必要な法改正と定数改善に向けた予算措置など、問題の核心には手をつけずに放置するもので、断じて容認できない。

 さらには、今回の「答申」は、子どもたちにゆたかな教育を保障するための見地や、それを支える協力・協働による民主的職場の確立の観点からも、きわめて問題の多いものである。その顕著な例が、「人事評価で、同じ成果であればより短い在校等時間の教師に高い評価をつける」など、個人の業務処理能力や効率化など自己責任論に矮小化させ、教育が人格の完成に向け子どもたちと教職員のふれあいの中で行われることや子ども・地域の実態から教材や授業構想が行われるべきことなど、教育の本質を蔑ろにするものである。また、「学校運営体制の見直し」については、「チーム学校」としての機能を強化するとともに、「主幹教諭」を全校配置しミドルリーダーがリーダーシップを発揮できるようにするとしているが、「校長」を中心とした上意下達の「学校運営体制」を強化し、管理統制を図ろうとするものに他ならない。これらは、教育の地方自治を否定し、画一化・中央集権化を目論むなど、47教育基本法の理念を根本から覆すもので断じて容認できない。

 これまで北教組は、子どもたち一人ひとりに寄り添うゆたかな教育を行うためには、教職員が生活時間を確保し、心身ともにゆとりを持って教育に専念できる環境整備が必要であることを訴えてきた。そのために、「一人当たりの持ち授業時間数の削減」や「『給特法』の廃止、または3条2項・5条の見直し」など抜本的な超勤・解消策を求め運動を行ってきた。

 北教組は、文科省・道教委に対して授業時数増やゆとりのない教育課程、過密な日課など、子どもたちからゆとりを奪い学校現場に超勤・多忙化を強いる学習指導要領体制、「点数学力向上策」の押しつけなどの教育政策の転換を求めるとともに、「持ち授業時間数削減」に向けた教職員定数改善や現場実態と大きく乖離している「給特法・条例」の廃止・見直しなど実効ある超勤解消策を求め、引き続き院内外のとりくみを強化し、全力でとりくんでいく。
  2019年1月28日

                                      北海道教職員組合

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