これまで私たちは、目の前の子どもの実態に合わせて、教育の目標や内容・指導方法を教育現場で創り上げてきた。今回の改悪では、これまで各教科の内容が中心だったものに詳細な目標を加え、教科の学習を通して「どのような資質・能力を目指すのか」を前面に打ち出すとともに、その達成に向けて学習内容から指導方法や評価のあり方にまで細かく言及した。その上で、現場に対して「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を求めた。これらは、「カリキュラム・マネジメント」と称して現場の裁量や教職員の主体性・工夫を奪い、教育の画一化を招くとともに、「評価」のための授業となり、子どもたちのゆたかな学びを阻害するものである。 学校現場では、「学習指導要領」の画一的な押しつけや「点数学力向上施策」と「競争と管理」の教育の下、子どもたちは学ぶ楽しさや意欲を奪われ、学びから逃避し、いじめ・不登校など様々な形で苦悩を表出している。今回の「改訂案」は、新たな「格差」を生み出し、子どもたちを一層追い詰めるものである。 「連合総研」の調査では、労働時間が週60時間以上だった教員の割合は小学校72.9%、中学校86.9%に達しており、教職員が超勤多忙化の常態化に苦しんでいる実態が明らかになった。「質・量」ともに求める「改訂案」は、教職員から「子どもに寄り添う時間」「教材研究の時間」を奪い、限界を超えている現場を一層苦しめるものである。教育行政の責務は、教職員がこれ以上疲弊して子どもたちに向かうことのないよう、定数改善や超勤多忙化排除、自主的研修の保障などの教育条件整備を行うことであり、「改訂案」は本末転倒と言えるものである。 文科省は、年度内に「学習指導要領」改訂し、小学校は20年度、中学校は21年度から完全実施するとしている。また、18年度から「小学校外国語」を中心に前倒し実施を目論んでいる。 私たちは、「改訂学習指導要領」をはじめ「学習指導要領」体制を批判し、憲法・「47教育基本法」・「子どもの権利条約」の理念に則ったゆたかでゆとりある教育の実践をすすめるため、教育課程の自主編成運動と職場教研体制を強化するとともに、民主教育の確立を求めて道民運動を強力に展開していくことを表明する。 2017年2月24日 北海道教職員組合 | |||