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 北教組第122回中央委員会にお集まりいただきました中央委員、傍聴者の皆さん、おはようございます。
 また、大変お忙しい中をご出席下さいました、ご来賓のみなさまに心よりお礼申し上げます。

 さて、学校における働き方改革を議論してきた「中教審」は1月、文科省に「答申」を提出しました。私たちの運動によって、学校現場の超勤問題を社会問題化させ、議論を巻き起こし、対策を出さざるを得ない状況をつくり出してきたことは大きな成果と言えます。
 しかし、本「答申」は、私たちが求めた教職員の「定数改善」や「一人当たりの持ち授業時間数削減」など抜本的な改善に踏み込むことなく、「ただ働き」を助長してきた「給特法」の見直しも中長期的な検討事項として先送りしました。
 一方で、文科省が策定した「時間外勤務の上限を45時間とするガイドライン」を設け、「1年単位の変形労働時間」導入を可能としました。これは、十分な予算もかけず、安上がりの対症療法的な対策で、自民党教育再生実行本部「第11次答申」そのままの政権の意図にもとづく、きわめて政治的なものです。

 中教審「答申」は、「給特法」を維持することで、矛盾を拡大させ、労基法から一層逸脱させました。そもそも、「給特法」は「原則超勤を命じない」「命じる場合は臨時または緊急のやむを得ない必要があるときの4項目」に限ることを条件に、労基法36条・37条を適用除外しました。しかし、「ガイドライン」は、限定4項目以外の業務を「在校等時間」として「勤務時間」に新たに加える一方で、時間外勤務等手当は支払わず、「月45時間」まで「ただ働き」を認める二重基準です。これまで「自主的・自発的な勤務」としてきた業務を超勤として認めたものの、支払うべき超勤手当等は頬被りし、4%調整額に包含しているとする立場で容認できません。

 「1年単位の変形労働時間」は、既に民間で明らかになっているように、常態化する長時間労働を容認し、見かけ上、時間外勤務をなくし合法化させる制度で、国通りの制度では超勤に拍車をかけかねません。中教審は、2019年中に「制度改正」を行い、20年中に「自治体の判断にもとづき条例改正等」を図り、「具体的な変形労働の在り方を確定」して、21年度の実施をめざすとしています。

 北教組はこれまで、道教委との交渉を強化し、「原則超勤を命じない」ことを遵守させる中で、やむを得ず行った時間外勤務を「勤務の割り振り変更」によって回復する限定的な変形労働時間によって、実質的な回復を図ってきました。1月の予算交渉においても、「子どもたちに関わるすべての引率」と「入学式・卒業式と事前準備」を対象業務に新たに加えさせ、制度の積極的な活用を徹底させることを確認しました。
 私たちは、中教審「答申」や文科省「ガイドライン」の問題を確りと明らかにし、教職員の「定数改善」と「一人当たりの持ち授業時間数の削減」、「給特法」の廃止・見直しなど、抜本的な勤務・教育条件の改善を要求し、引き続き院内外の運動を強化していかなければなりません。あわせて、一方的な国の制度変更を許さず、当面、「原則超勤を命じない」「命じる場合は限定4項目」遵守を基本に、やむを得ず行った超勤は完全に回復させるよう、交渉にもとづく改善策を要求し、超勤解消に向けて全力でとりくんでまいります。

 さて、総務省が2月に「統計の日(10月18日)」に向けて、「標語」を募集しました。「不景気も 統計一つで 好景気」「この数字 君が良いねと言ったから 偽装であっても統計記念日」。ネット上には、杓子定規に募集を行う役所仕事と統計のいい加減さを皮肉る「標語」が溢れ「大喜利」状態となっています。統計不正と賃金偽装問題によって政府の政策の正当性が失われ、森友・加計学園同様、官邸の関与が疑われています。
 こうした中で、安倍首相は、「9条に自衛隊を明記する改憲」の理由として、「6割以上の自治体が自衛官募集に協力しない」との発言を行いました。これは、そもそも「自治体が住民情報を自衛隊に渡す」ことから、地方自治や個人情報保護に反することはもとより、改憲の意図が「戦争する国」に向け、「国民を戦場に駆り立てる体制づくり」にあることを露にするものです。

 北教組は1月、平和憲法を守る運動を強化するため、「護憲運動推進本部」を設置しました。憲法が戦後最大の危機を迎えている今こそ「教え子を再び戦場に送るな!」のスローガンのもと、憲法理念を実現し生かすとりくみをすすめるためです。憲法・「改憲手続法」「自民党改憲案」の学習とともに、保護者・地域住民との対話をすすめ、改憲阻止に向けた広範な運動を強化していかなければなりません。

 先月、私は岩手県高教組の70周年行事に参加しました。その中で、かつて花巻農業高校の教員であった「宮沢賢治」が、農民の方々と働きながらともに学ぶためにつくった「教科書」の冒頭に書いた言葉が語られました。「世界がぜんたい幸福にならないうちは 個人の幸福はあり得ない」というものです。
 今、世界中で、差別と分断、排他的な風潮が強まり、平和や人権、民主主義という最も大切な普遍的な価値観が蔑ろにされ、自分だけが良ければという考えが大手を振る中で、「世界中の人々の幸せを願い、平和を求める大切さ」を賢治は時代を超えて、私たちに伝えていると強く感じました。また、スピーチの中で先輩の方が、「もし、賢治が今も教員だったら、間違いなく組合員だ」と話したことも印象に残りました。
 私たちは安倍政権が、「9条改憲」に突き進む中で、憲法に保障された「平和」の意味を問い直し、断じて戦争を許さず、平和憲法を守る1年にしなければなりません。そのため、今年の知事選をはじめとする統一地方選挙、そして7月の参議院選挙は、まさに天王山です。

 7月の参議院議員選挙では、北海道選挙区「勝部けんじ」、比例区「水岡俊一」候補予定者を勝利させるため、北海道教育フォーラムと連携し、現退一致で組織の総力を挙げて闘うことを確認したいと思います。

 この中央委員会が、皆さんの真摯な討議によって、たたかう北教組の当面方針が確定することを心よりご期待申し上げ、中央執行部を代表しての挨拶とします。ともに頑張りましょう。

 2019年4月15日

                                    北海道教職員組合