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 道教委は6月2日、2021年度から3年間の「公立高等学校配置計画案」および2021年度「公立特別支援学校配置計画案」を公表した。

 「公立高校配置計画案」は、新たに公表した23年度について、①留辺蘂を募集停止とする、②小樽潮陵・室蘭栄・市立函館・旭川北・旭川南・旭川永嶺・美幌を各1学級減とする、とした。昨年度決定した21~22年度の計画によって6校で6学級増、14校で15学級減を行う上で、①函館中部・北見北斗の普通科1学級を理数科に転換する、②普通科フィールド制の札幌丘珠・野幌は普通科、千歳北陽は総合学科に転換する、③野幌・千歳北陽を「新たな特色ある高校」として位置づけるなどと変更した。また、今年度の2次募集後に1学級相当の欠員が生じ学級減となった長沼など21校のうち、再編を予定している伊達緑丘高校を除く20校の21年度の学級数は、9月の計画決定時に公表するとした。さらに、月形・穂別・南茅部・上ノ国については、「所在市町村をはじめとした地域における、高校の教育機能の維持向上にむけた具体的取組とその効果を勘案」して再編整備を留保するとした。これらは、「これからの高校づくりに関する指針」にもとづき「1学年4~8学級」を適正規模として、中卒者数の減少を口実にした機械的な間口削減と再編統合などによる学級減の強行とともに、これまで以上に高校の序列化に拍車をかけるもので断じて容認できない。

 留辺蘂の募集停止は唐突に示されたものであり、通学にかかる負担や地元から通いたい子どもの思いなど、地域の実情を考慮することなく、「指針」にもとづき中卒者の減少などを理由としたものである。今後、同様の課題を抱える学校への波及が危惧される。また、野幌・千歳北陽は「新たな特色ある高校」として、「基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着を図る」としてフィールド制から転換されたが、こうした子どもや保護者の願いである学びの充実は一部の学校に特化して行うものではなく、すべての学校における課題であり、そのために必要な教育環境整備を道教委は行うべきである。

 この間、大幅に人口減少・都市部への一極集中がすすむ道内において、こうした機械的な間口削減・再編統合、差別選別を一層すすめる「公立高等学校配置計画」によって、一層地域の高校を減少させ疲弊・衰退を加速させるとともに、子どもの学びが侵害されている。道教委は、今後開催される「第2回地域別検討協議会」において地域の声を真摯に受け止め、高校存続に向けた体制を早急に構築するべきである。

 「公立特別支援学校配置計画案」は、21年度の進学希望見込数を1,381人とし、定員を全しょうがい児学校61校で1,678人(昨年比12学級76人減)とした。また、22年度には「全道で3学級相当の定員の確保を検討」、23年度には「道央圏で2学級相当の定員の確保を検討」するとした。

 21年4月には、苫小牧市に小・中学部の知的しょうがい児学校が開校することから将来的な高等部の設置の動きが予想される。また、知的しょうがい児学校高等部への進学者の増加傾向に歯止めがかからず、一層分離・別学に拍車がかかることは明らかである。これは、文科省・道教委のすすめる「特別支援教育」が「分けることは差別につながる」とする「国連障害者権利条約」の理念に反し、どの子も共に学ぶ「インクルーシブ教育」を阻害していると言わざるを得ない。道教委は、しょうがいのある子どもたちの地元の普通高校への入学および進級・卒業に向けた「合理的配慮」など、教育環境整備を早急に行うべきである。

 北教組は、「これからの高校づくりに関する指針」や「配置計画案」が、受験競争の激化や高校の序列化を加速させるとともに、子ども・保護者や地域住民の高校存続を求める声を無視するものであることから、引き続き、道教委に対し撤回・再考を強く求める。また、ゆたかな高校教育の実現をめざし、どの地域に暮らしていてもしょうがいのある・なしにかかわらず希望するすべての子どもが地元で学べる「地域合同総合高校」の設置など、子どもの教育への権利と教育の機会均等の保障をめざし、「道民運動」を一層強化していく。

  2020年6月4日

                                      北海道教職員組合