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 北教組・道私教協は、10月29日から10月31日までの3日間、のべ1800人の組合員・保護者・地域住民の参加のもと、第71次合同教育研究全道集会を開催しました。2020年はじめから各地で蔓延した新型コロナウイルス感染症の影響により、昨年度の第70次全道合研は中止を余儀なくされました。今年度第71次については、対面での開催がかなわなかったものの、自主編成運動の歩みを止めてはならないとの思いから、オンライン開催としました。

 改訂「学習指導要領」が本格実施となり、文科省は、国家に都合の良い「価値観」や「規律」を強要するとともに、教育内容・方法・評価まで詳細に介入して、政財界の求める「資質・能力」の育成を通した「国家のための人材づくり」をめざしています。また、20年2月末の一斉休校、そして再開後は、学校行事の中止・延期・内容変更など、子どもたちは人との関わりを制約される中、授業は「進度」「授業時数確保」が至上命題となり、さらには「全国学テ」の実施・活用が強要され、子ども主体の学びが阻害されました。さらに、「コロナ禍」においてGIGAスクール構想が前倒し実施となり、中教審はICTの活用による「個別最適な学び」の推進を文科省に答申しました。

 教職員もまた、消毒作業や行事・授業内容の再三にわたる練り直しをせざるを得なくなり、これまで常態化していた「過労死レベル」の超勤実態がより深刻化しています。

 私たちはこの「コロナ禍」の中で、改めて教育の本質を見つめ直し、子ども同士・子どもと教職員とのふれあいや対話を大切にした、子どもたちに寄り添いつながる教育の重要性を再認識しました。

 現在の閉塞した教育の状況を学校から変えるため、北教組は21年1月「『自分らしく』『よりよく生きる』学びのための18の提言」(以下「18の提言」)を発行し、子どもを権利の主体者としてとらえる「主権者への学び」を基底とした教育活動をあらゆる教科・領域で実践することを提起しました。私たちは今次教研において、これまで積み上げてきた「抵抗と創造」の自主編成と、「主権者への学び」をもとにした教育実践について論議を深め、すべての子どもたちに民主教育を保障するとともに、今後の教研の発展に向けて次のことを確認します。

 第1に、憲法改悪を断固阻止するため、院内外の統一闘争を構築し、護憲勢力の結集と拡大をめざしてとりくむこと。そのために、組合員一人ひとりが自らの言葉で語る「教育を語る全道対話運動」を通して、「平和憲法を守る」「子どもの貧困・教育格差解消」「教職員の長時間労働是正」を重点課題に、地域住民・保護者との連携を強化すること。

 第2に、競争による差別・選別教育をおしすすめる改悪「学習指導要領」やこれにもとづく「学力向上策」「特別の教科 道徳」と対峙し、GIGAスクール構想をはじめとする中教審答申にもとづく教育内容・方法・評価への不当な介入を許さず、「18の提言」をもとに「主権者への学び」を中心とした自主編成運動を推進すること。

 第3に、過酷な勤務実態を解消し、子どもと向き合う時間の確保とゆとりある教育活動をすすめるため、教育課程の過密化解消、官制研修の削減・縮小、部活動の社会教育への移行など具体的な業務削減を求めるとともに、「給特法・条例」の廃止・抜本的見直しを求めること。また、道教委に対して「北海道アクション・プラン」の見直しを求めるとともに、やむを得ず行った超勤に対しては、勤務時間の割振り変更により直近に実質的な回復を措置させること。

 第4に、憲法・「47教育基本法」・「子どもの権利条約」にもとづく、子どもを主人公とした自主・自律の学校づくりをすすめること。また、「子どもの権利条例」の早期制定に向け、保護者・地域住民と連携し、連合・平和運動フォーラム・民主教育をすすめる道民連合など民主的諸団体との共闘を強め、「日の丸・君が代」強制反対の運動についてねばり強くとりくむこと。

 第5に、文科省「特別支援教育」を実態化させず、「分けることは差別である」ことを確認するとともに、共生・共学をすすめること。また、共生社会の実現に向け、国連「障害者の権利条約」や「障害者差別解消法」の理念にもとづき、しょうがい者の社会的障壁を除去する「合理的配慮」をすすめること。

 第6に、評価結果を賃金・任用・分限等へと反映させ、学校現場の協力・協働を阻害する「学校職員人事評価制度」については、撤廃を基本に、差別賃金・管理統制強化とさせず、すべての教職員の賃金改善とするよう、各級段階におけるとりくみを強化すること。また、定年引き上げ等に関する制度について、国に遅れることなく学校現場の実態に即した制度にしていくよう道教委に求めていくこと。

 第7に、「主任制度」「主幹教諭制度」や「事務主幹制度」「新たなミッション加配」、中教審「特別部会」の「答申」にもとづく教職員の差別・分断、管理強化に反対し、自律的・民主的職場づくりと、主任手当の社会的還元を含め、組織強化・拡大を組織の総力をあげてすすめること。また、「協定書」破棄の実態化を許さず、諸権利定着・拡大、超勤・多忙化解消をはかること。さらに、「教員免許更新制」の早期撤廃に向けたとりくみを強化すること。

 第8に、財政論に依拠した道教委「公立高等学校配置計画」の撤回・再考を求め、希望するすべての子どもたちが地元の学校へ通うことができるよう高校を存続させるとともに、「地域合同総合高校」の実現など、受験競争の解消とゆたかな高校教育改革をめざすこと。そのため、保護者・地域住民との連携を強化すること。また、公私間の学費格差解消に向け、私学助成拡充を求めること。

 第9に、教育の機会均等を保障するため、「高校授業料無償化」への所得制限および朝鮮学校の無償化適用除外の撤廃、義務教育費国庫負担制度堅持・全額国庫負担を基本に、当面、負担率2分の1復元に向けて全国的な運動を展開すること。また、経済格差による「教育格差」の是正や「子どもの貧困」を解消するとともに「30人以下学級」の早期実現をめざし、当面、「教職員定数標準法」における中学校2・3年、高校への「35人以下学級」の実現や「道独自の少人数学級」の実施拡大、給付型奨学金制度の拡充、「就学援助」の拡大、教育費の保護者負担の解消など、教育予算増額に向けたとりくみを強化すること。

 第10に、「生涯健康管理体制」の押しつけに反対し、集団フッ素洗口中止、食物アレルギーに特化した対応の一方的な導入阻止、HPV・日本脳炎などワクチンの定期接種化の中止などを求め、子どものいのちと健康を守るとともに、個人情報保護のとりくみをすすめること。また、特定の健康観の押しつけや差別につながる「全国体力・運動能力調査」の中止・撤回を求めること。

 第11に、「女性差別撤廃条約」の理念にもとづき、学校や社会における性差別や性別役割分業の撤廃に向け、とりくみを強化し、女性参画を推進すること。ジェンダー平等に対する攻撃を排し、学校教育のあらゆる場面で「ジェンダーの視点」を取り入れた実践をすすめること。また、LGBTsや民族、外国につながる子どもなど多様性にかかわる人権教育を一層すすめ、すべての人の人権が保障される社会を実現すること。

 第12に、未だに収束を見ない「フクシマ」の現状から、「人類と核は共存できない」ことを再確認し、反核・反原発の学習をすすめるとともに、泊・幌延・大間をはじめとしたすべての原子力施設の廃止・建設中止を求め、「核・原発のない社会の実現」に向けてとりくみを強化すること。また、寿都町・神恵内村の高レベル放射性廃棄物最終処分場に関する「文献調査」に反対し、「概要調査」にすすませないとりくみをすすめること。さらに、「被ばく」により、いのちを脅かされている子どもたちの状況の改善を求めるとともに、再生可能エネルギーへの政策転換を求め、自然との共存をめざす教育をすすめること。さらに、辺野古新基地・南西諸島への自衛隊配備阻止のたたかいを沖縄と連帯してすすめること。

 私たちは、平和・人権・国民主権など憲法の原則を守り、個人より国家を優先する政府と文科省の政策を厳しく批判・分析し、「自分らしく」「よりよく生きる」教育の創造をめざして、地域・保護者と連帯して、自主編成運動をさらに押しすすめるとともに次世代へ継承することの重要性を再認識しました。

 「教え子を再び戦場へ送るな!」の決意を新たにし、憲法改悪に断固反対するとともに「47教育基本法」・「子どもの権利条約」の理念にもとづく「平和を守り真実をつらぬく民主教育の確立」に向けたとりくみを一層前進させていくことを確認し、集会アピールとします。

 2021年10月30日、31日

第71次合同教育研究全道集会