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 本日、きわめて問題のある「改憲手続法」改正案が衆議院を通過した。北教組は、本法案の可決に強く抗議する。今、政治が全力でとりくむべき課題は新型コロナウイルス感染症への対策であり、「改憲手続法」改正ではない。

 「改憲手続法」改正案は、一部の課題を検討事項として附則に盛り込む修正が行われたものの、CM・インターネット広告の規制や運動費用の制限がないこと、最低投票率の定めをおかず「有効投票の過半数」で成立すること、改正案の発議について「内容において関連するごと」として一括投票の余地を残していること、などの問題が払拭されてはいない。また、「公選法並び7項目」の内容についても、「期日前投票の弾力的運用」や「繰延投票の告示期間の短縮」など、「投票環境の向上」という法改正の目的に反する事態をもたらすおそれがあり、許されない。

 自民党は、新型コロナウイルス感染症拡大に乗じて、私権制限を伴うより強い対策のためには「緊急事態条項」が必要であると喧伝し、改憲論議を加速させようとしている。しかし、新型コロナウイルス感染症対策は、諸外国においても、現行法の範囲内で迅速に対応し、生活補償、休業補償などが実施されている。このことは、「緊急事態条項」に該当する憲法を有する国にあっても同様で、緊急時において様々な規則を細かく定めるのは、国家の基本原理を定める憲法ではなく、個別の法律の役割である。その上、自民党が憲法改正草案で示した「緊急事態条項」は、発動要件が曖昧な上に、国会の関与なしに内閣が法律と同じ効力を持つ政令を出すことができるなど、三権分立・地方自治・基本的人権の保障などの憲法秩序を停止し内閣の独裁を招きかねない内容となっており、他国の「緊急事態条項」や新型コロナウイルス感染症対策とは全く性質が異なるものである。

 以上のように、自民党が目論む憲法「改正」は、日本国憲法の「平和主義」「民主主義」「基本的人権の尊重」の基本原理を蔑ろにするもので、断じて容認できるものではない。

 私たちは、「改憲手続法」の廃案を求めるとともに、少なくとも問題点の修正を強く求めていく。また、「教え子を再び戦場に送らない」の理念のもと、憲法の平和主義と民主主義を破壊し「戦争をする国づくり」をすすめようとする憲法改悪の動きを決して許さない。引き続き憲法改悪を断固阻止するため、民主的諸団体と連携し、さらに運動を強化していく。

 2021年5月11日

                                      北海道教職員組合