道教委は6月1日、2022年度から3年間の「公立高等学校配置計画案」および2022年度「公立特別支援学校配置計画案」を公表した。
「公立高校配置計画案」は、23年度について①留辺蘂を募集停止する、②美幌を生産環境科学科および地域資源応用科から未来農業科に学科転換し1学級減とする、③名寄及び名寄産業の再編統合による新設校は、普通科4学級、情報技術科1学級とし単位制を導入する、と変更した。新たに公表した24年度については、22~23年度に4校で4学級増(1校は計画決定時に公表)、7校で7学級減とした上で、岩見沢東などを6校で6学級減とした。また、今年度の2次募集後に1学級相当の欠員が生じ学級減となった栗山など全日制23校、定時制1校の学級数は、9月の計画決定時に公表するなどとした。さらに野幌・千歳北陽に導入する新たな特色ある高校の総称を「アンビシャススクール」とした。
これらは、地域の実態を顧みず、「これからの高校づくりに関する指針」にもとづき「1学年4~8学級」を適正規模として中卒者数の減少を口実にした機械的な間口削減と再編統合などによる学級減を強行するとともに、これまで以上に高校の序列化に拍車をかけるものである。留辺蘂の募集停止は、昨年「北見市内の高校配置に関する今後の地域における検討状況等を勘案するため期間を置く」としたものの、計画案では「中卒者数の状況、学校規模、募集定員に対する欠員の状況、地元からの進学率」など数字のみをもとにした機械的な判断で、設置者としての存続責任を放棄するばかりか、高校の特色や地域の学校存続を求める声を考慮しておらず、容認することはできない。また、野幌・千歳北陽に導入する「アンビシャススクール」は、子ども・高校を差別・序列化させかねないもので、「基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着や社会的・職業的自立に向け必要な能力や態度の育成に重点を置く」ことは、すべての子ども・保護者の願いであり、そのために必要な教育環境整備を道教委は行うべきである。地域連携特例校については、本別・標津を22年度の募集学級数が1学級の場合に新たに導入するとし、平取・興部・阿寒については「所在市町村をはじめとした地域における、高校の教育機能の維持向上にむけた具体的取組とその効果を勘案」して再編整備を留保するとした。しかしその基準は曖昧で、該当地域は子どもたちのためではなく、道教委に留保を認めてもらうための学校づくりをすすめてしまう危惧がある。
大幅に人口減少・都市部への一極集中がすすむ道内において、こうした機械的な間口削減・再編統合、差別選別を一層すすめる「公立高等学校配置計画」によって、都市部を除く地域は高校が減少し、疲弊・衰退が加速するとともに、子どもの学びが侵害されている。地域の教育機能を維持・向上させることは重要な課題であり、地域の特性や実情を十分に考慮するために「これからの高校づくりに関する指針」を抜本的に見直す必要がある。
「公立特別支援学校配置計画案」は、22年度の進学希望見込数を1,352人とし、定員を全しょうがい児学校61校で1,665人(昨年比8学級29人減)とした。しかし、職業学科を含む知的高等支援学校24校では、定員を904人(昨年比2学級16人増)と増加した。さらに23年度には「道央圏で2学級相当の定員の確保を検討」、24年度には「道央圏で4学級相当の定員の確保を検討」するとしていることから、将来的には、しょうがい児学校の定員増により、一層分離・別学に拍車がかかることは明らかである。これは、文科省・道教委のすすめる「特別支援教育」が「分けることは差別につながる」とする「国連障害者権利条約」の理念に反し、どの子も共に学ぶ「インクルーシブ教育」を阻害していると言わざるを得ない。道教委は、しょうがいのある子どもたちの地元の普通高校への入学および進級・卒業に向けた「合理的配慮」など、教育環境整備を早急に行うべきである。
北教組は、「これからの高校づくりに関する指針」や「配置計画案」が、受験競争の激化や高校の序列化を加速させるとともに、子ども・保護者や地域住民の高校存続を求める声を無視するものであることから、引き続き、道教委に対し撤回・再考を強く求める。また、どの地域に暮らしていてもしょうがいのある・なしにかかわらず希望するすべての子どもが地元で学べる「地域合同総合高校」の理念を生かしたゆたかな高校教育の実現と子どもの教育への権利と教育の機会均等の保障をめざし、「道民運動」を一層強化していく。
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