道教委2024年度「公立高等学校配置計画」および「公立特別支援学校配置計画」に対する北教組声明
道教委は9月5日、24年度から3年間の「公立高等学校配置計画」(以下、「配置計画」)と24年度および25年度以降の見通しを示した「公立特別支援学校配置計画」を公表した。
「配置計画」では、6月の「計画案」で示した通り、26年度に奈井江商業、25年度に穂別、24年度に留辺蘂を募集停止とした。また、24年度については、利尻の商業科1学級および釧路学区4校(釧路湖陵・釧路商業・釧路明輝・釧路東)の各1学級減、25年度については、①深川東、室蘭工業を1学級減、②岩見沢東と岩見沢西(現8学級)を再編し6学級の単位制新設校設置、③富良野と富良野緑峰(現7学級)を再編し5学級の単位制新設校設置、などとした。26年度は、函館水産の1学級減とニセコ定時制の総合学科転換とした。23年度入学者選抜の結果、第2次募集後の入学者に1学級相当以上の欠員が生じ学級減とした18校のうち、岩見沢東などの14校は1学級増へと戻したものの、北広島西、余市紅志、広尾、札幌白陵を1学級減のままとし、札幌白陵については単位制から学年制に転換した。
道教委「これからの高校づくりに関する指針 改定版」(23年3月。以下、「指針」)では、「望ましい学級規模は1学年4~8学級」との記載を削除したものの、「在籍者数が2年連続で20人未満」の再編整備基準は固持し、3年連続となった奈井江商業を募集停止とした。一方で、留辺蘂は、22年度20人、23年度に22人の入学者数がいたにもかかわらず、24年度の募集停止は変わっていない。以上のように道教委は、依然として「中卒者数や欠員の状況、地元からの進学率」などを口実に機械的な間口削減をすすめており、この20年間で60校の公立高校が廃校となった。
これらは、子どもたちの選択肢を狭め、遠距離通学を強いるなど学習権の侵害や負担増につながっており、断じて認められない。また、高校の廃校によって、若年層の家族を含めた都市部転出、職業学科の学級減や学科転科による高卒後の地元の就職者減など、地域経済・文化の活力をも奪っていると言わざるを得ない。さらには、道教委が募集停止や間口減を懸念する高校に対し、「特色ある高校づくり」を求めることで、当該学校の教職員の超勤・多忙化を助長し、子どもたちの実態にもとづく教育を歪めていることに対し、重大な懸念を表明する。
「公立特別支援学校配置計画」では、24年度について、定員を全しょうがい児学校60校で昨年度より2人増の1,708人とした。「計画案」からの変更点は、学級数が266から5学級増の271へと、定員が1,678人から30人増の1,708人へとなったことである。また、25年度には「道北圏で2学級相当」、26年度には「道央圏で7学級相当」の定員の確保を検討し、既設校で対応するとした。
依然として中学生の人口が減少しているにもかかわらず増加している要因は、「特別支援教育」により分離・別学をすすめていることにある。これは、「障害者差別解消法」等に反するとともに、「国連・障害者権利委員会勧告」(22年9月)の「すべての障害のある児童に対して通常の学校を利用する機会を確保すること」など、国際的なインクルーシブ教育の基準からはかけ離れたものとなっている。また、現状、特別支援学校において特別教室を普通教室に転用するなど施設の不足が課題となっていることから、道教委は教育環境整備を責任をもってすすめることはもとより、「合理的配慮」をすべての学校において十分に行うべきである。
広域な北海道においては、少子化に歯止めがかからない中にあって、少人数でも運営できる学校形態を確立し、地域に高校を存続させるモデルの構築が急務である。道教委は、「指針」で「一定の圏域内における各高校の役割等を勘案した高校配置の必要性を踏まえ、1学年1学級の高校においても圏域全体で必要な定員調整をあらかじめ行うことで存続を図ることも選択肢となる」とした方針を深化・発展させ、私たちが求めてきた「地域合同総合高校」を早期に具体化すべきである。
北教組は、「指針」「配置計画」の撤回・再考を求めるとともに、希望するすべての子どもがしょうがいのある・なしにかかわらず地元で学べる「地域合同総合高校」の設置など、子どもの教育への権利と教育の機会均等の保障を実現させるため、道民運動を一層強化していくことを表明する。
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