中教審は8月27日、「『令和の日本型学校』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について~全ての子供たちへのよりよい教育の実現を目指した、学びの専門職としての『働きやすさ』と『働きがい』の両立に向けて~」を文科大臣に答申した。
「答申」は、「審議のまとめ(2024.5.13)」に示された内容とほぼ変わらず、「答申」の内容を進めるための工程表を作成し、「学校・教師が担う業務に係る3分類」に基づく「対応策の例」を付加するとともに、今後の検討が期待される事項として「スポーツ・文化芸術活動に継続的に親しむ機会の確保に向けた、地域の環境整備の中での部活動改革の在り方等」を追記したものになっている。
文科省は「答申」をまとめるにあたり、「審議のまとめ」に対してのパブリックコメントを行い、2週間で18,354件の意見が寄せられた。その中には、①「審議のまとめ」では、教職員の長時間労働は改善しない、②給特法の廃止・抜本的な見直しを求める、③長時間労働の一層の是正のためには、学習指導要領の内容の精選とそれに伴う標準授業時数の削減など確実な業務削減と大幅な教職員定数改善が必要、などの声が多く寄せられていた。しかし、こうした意見は、答申にほとんど反映されていない。「教員のなり手不足」や欠員不補充が一層深刻化する中にあって、学校現場の当事者からの意見をないがしろにする文科行政のあり方に対して改めて最大限の懸念を表明する。
「教師の持ち授業時間数の在り方」では、小学校高学年の教科担任制の推進については、定数改善と既存の加配措置を合わせ、あたかも全ての学校において3.5単位時間程度の軽減がはかられるかのような記載をしている。しかし、かねてから指摘している通り、3,800人の加配であり、その効果を得るのは、全国で18,000校を超える小学校の2割程度にすぎない。
「新たな職と級」「学級担任手当」については、教育現場にさらなる分断をもたらすものであって、教職員の「働きやすさ」「働きがい」に結びつくことはなく、多様な教職員の協働体制で子どもたちを育てる学校の創造をむしろ阻害するものである。
「答申」では、週当たりの授業時数を減少し、授業日数を増やすことで、「教員」や「児童生徒」の負担軽減をはかった具体的な例を紹介するとしている。しかし、教職員の負担軽減のみならず子どもの負担軽減をはかるために必要なことは、学習指導要領の内容と標準時間を削減することであり、教職員定数を大幅に改善することである。
「答申」では、「各主体が自分事として、取組のスクラップアンドビルドを改めて徹底し」と教育委員会、管理職によるマネジメント強化、自助努力の強化をさらに促している。これまで指摘してきた通り、教職員の長時間労働の常態化に至った大きな要因は、文科省が「基礎定数」の改善を行うことなく、「学習指導要領」において次々と新たな課題を積み重ねてきたことにある。まさに文科省が「ビルドアンドビルド」で新たな業務を学校に上乗せし続けててきたにもかかわらず、自らの責任を曖昧にし、学校現場にさらなる自助努力を求める姿勢は断じて容認できない。
北教組は、すべての子どもの学習権を保障し、学校がゆたかで実りある学びの場となるよう、「長時間労働の常態化」をはじめとする学校現場に山積する諸課題の解決に向け、「給特法」の廃止・抜本的な見直し、「基礎定数改善」など国における教育予算の拡充などを求め、広く地域や保護者と連帯し、抜本的な超勤解消に向け運動を強化していく。
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