道教委2025年度「公立高等学校配置計画」および 「公立特別支援学校配置計画」に対する北教組声明
道教委は9月3日、25年度から3年間の「公立高等学校配置計画」(以下、「配置計画」)と25年度および26年度以降の見通しを示した「公立特別支援学校配置計画」を公表した。
「配置計画」では、6月の「配置計画案」で示した通り、①南茅部を27年度に募集停止、②市立札幌藻岩と啓北商業を再編統合、③北見商業、釧路江南を1学級減、④入学者数が2年連続20人未満となった苫前商業を再編整備留保、とした。また、24年度入学者選抜の結果、第2次募集後の入学者に1学級相当以上の欠員が生じ学級減とした16校のうち、芦別、深川西、倶知安、静内、士別翔雲、留萌、湧別、清水、別海、中標津の10校は1学級増に戻したのに加え、広尾は町内中卒者数の状況などから1学級増としたものの、札幌西陵、札幌あすかぜ、伊達開来、池田は1学級減のままとした。24年度「配置計画」では、広尾を1学級減、池田を1学級増としたが、25年度「配置計画」では広尾を1学級増、池田を1学級減としており、地域や学校、子どもや保護者は、学級増減に毎年翻弄されることとなる。
24年度留辺蘂、25年度穂別、26年度奈井江商業に続き、今回、27年度の南茅部の募集停止が示され、毎年1校ずつ高校が廃校となる。南茅部の入学者数は、21年度に9人まで落ち込んだものの22年度は14人。しかし、23年度9人、24年度4人となり、「再編整備留保の集中取組期間中に2年連続10人未満」とした「指針」が適用された。
函館市では、合併前の旧4町村の地域から高校がなくなり中心部に一極集中することとなる。募集停止とされる地域の子どもたちは、遠距離通学や下宿などをせざるを得ない。北海道の多くの地域は公共交通機関の便が限られることから保護者による送迎で通う子どもが少なくなく、特に冬期の道路状況などを鑑みると、財政面だけでなく、時間、安全、体力、精神面など様々な観点で子ども、保護者に負担が大きい。家族全員の転居を選択する家庭もあり、高校がなくなることで地域社会の停滞なども懸念される。
各市町村では、通学費の補助やタブレット端末・制服等の購入補助金の措置、地域住民や地元の小中学校との連携など高校存続および高校の魅力化発信のため既に様々な努力を重ねている。毎年、「指針」が示す生徒数を超える・超えないに翻弄され、学級減や募集停止につながらないよう足繁く札幌へ通い、道教委に要請している。道教委は、「地元市町村や企業等と連携し、地域課題の解決等に取り組む学習活動を推進するなど、一層魅力ある高校づくりに努める」としているが、「公立高等学校配置計画地域別検討協議会」では、真に地域に寄り添い高校存続のために何ができるかを「協議」をする場になっているとは言い難い。
この20年間で60校の公立高校が廃校となり、子どもの遠距離通学や転居、地域経済・文化の活力が奪われるなどの問題が生じた。少なくともこれ以上は中卒者数の状況、募集定員に対する欠員の状況、地元からの進学率」などを口実にした機械的な「削減ありき」の姿勢ではなく、地域との丁寧な協議による「存続ありき」の姿勢に改めるべきである。
「公立特別支援学校配置計画」は、25年度の進学希望見込数を1,439人、定員を全しょうがい児学校(本科)60校で1,712人とし、職業学科を含む知的しょうがい児学校(高等部)24校では、25年度に道南・道北圏で既設校活用による2学級増を計画し定員を896人(昨年比16人増)とした。また、26年度には「道央圏で8学級」「オホーツクで1学級」相当の定員の確保を検討し、既設校で対応するとした。
中学生の人口が減少しているにもかかわらず依然として増加している要因は、「特別支援教育」により分離・別学をすすめていることにある。「特別支援学校」への通学は、保護者の遠距離送迎や寄宿舎生活となることが多く、地元での進学を望む子どもや保護者は少なくない。「国連・障害者権利委員会」から「すべての障害のある児童に対して通常の学校を利用する機会を確保すること」とした勧告を受け止め、「合理的配慮」のもと、地元の高校に進学できるようにすべきである。
少子化がすすんでいる実態があるものの、少人数でも運営できる学校形態を確立し、地域からこれ以上学校をなくさないことが重要である。北教組は、近隣複数校が連携し、1年次は共通科目を地域の校舎で、2年次以降進路希望に応じて子どもが他校舎を行き来できる「地域合同総合高校」を提唱してきた。
北教組は、「指針」「配置計画」の撤回・再考を求めるとともに、希望するすべての子どもがしょうがいのある・なしにかかわらず地元で学べる「地域合同総合高校」の設置など、子どもの教育への権利と教育の機会均等の保障を実現させるため、道民運動を一層強化していくことを表明する。
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