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 各学校に「栄養教諭」の配置がすすめられていますが、「栄養教諭」とは栄養士・管理栄養士と何が違うのか。これらの違いを明確に説明できる教職員はそれほど多くはないのでしょうか。第1回目の今回は、栄養職員制度の変遷と「北教組栄養教職員特別委員会」のあゆみをお伝えします。
 栄養士・管理栄養士は病院や保健所・老人ホームや自衛隊など、特殊な栄養管理を必要とする場を職場として活躍しています。しかし小学校・中学校・しょうがい児学校などの教育現場で働く栄養教諭においては、これらの栄養士・管理栄養士の資格の他、教員の免許も併せ持っていなければなりません。
 2005年に「栄養教諭制度」が始まり、「栄養教諭」の配置がすすめられ、2018年現在、道内には556人(内「学校栄養職員」は107人)の栄養教職員が配置されており、「栄養教諭」の占める割合は毎年増えています。
 北教組は1982年9月27日、第1回学校栄養職員特別委員会を開き、「特別委員会」の発足を正式に確認するとともに、82年度活動方針を決定しました。市町村費負担職員から道職員に身分を切替えた栄養職員の労働条件改善や学校給食改善のために活動をしていくことが決まり、当時22人の組合員でスタートを切りました。

 2012年、「栄養教職員特別委員会」に名称変更され、組織強化・拡大がすすめられてきました。今日まで36年の間、特別委員会として十分な体制がとれない時期もありましたが、現在では決議機関としての「委員会」を開催し、1年間の運動の総括をするとともに新たな運動方針を決定するとりくみを続けています。最も大きな課題は労働条件改善や学校給食改善ですが、栄養教職員が抱える課題はそれだけではありません。さまざまな問題の改善をめざし、年に2回学習会を開いて協議・交流を行っています。

 管理職や地教委・道教委に実態を伝え改善を求めるには、組織化が必要です。少数職種だからこそ、より横のつながりが大切です。
 勤務条件などを改善するにあたって北海道の行政では解決できず、法律を変えなければならないこともあります。そのような問題は、文部科学省に要求しなければなりません。そのため、日教組にも栄養教職員部があります。
 このように全道、全国各地で組織化され、学習会や交流会で学び合い、語り合いながら要求事項をまとめ、行政に伝えているのです。
 全道各地に勤務している栄養教職員一人ひとりの悩みを共有し、勤務条件改善のため、一体となりましょう。北教組に結集しましょう。

 「栄養教職員のしごと」の連載2回目は、栄養教職員の勤務実態についてです。

 北海道においては市町村ごとに勤務実態が異なります。そのため栄養教職員は異動の度にいつ、どこで、どのように働くかを確認しなければなりません。

 働く場所(給食センターや勤務校)に何曜日のどの時間帯にいるのか、そして職務内容など確認することは多岐にわたります。

 今回は、ある栄養教職員の勤務実態をイラストで紹介します。

 栄養教職員は少数職種ゆえ1人で悩みを抱えてしまうことがあるかもしれません。しかし北海道、そして全国において仲間の輪が広がっています。更につながりを広げ、深め、勤務条件や悩みの解決に向けて活動しましょう。

 他の栄養教職員と交流すると、栄養教職員の仕事内容は自治体・勤務校によって大きく違いがあることがわかってきました。
私は学校給食を給食センターで調理している市の小学校に勤務しています。基本的に学校に勤務していますが、給食管理をするために給食センターに行きます。こうした働き方を栄養教職員の中では「センター勤務」と呼んでいます。道内では「センター勤務」の他に「親子共同調理場勤務(1カ所の調理場を親学校とし、近辺の小中学校を子学校として2~3校へ給食を配送する)」「単独校勤務(学校ごとに調理場をもつ)」「単独校に勤務しながら、他校の給食調理場も複数担当する」など、さまざまな実態があります)

 「給食管理」と一口に言っても、さまざまな業務があり、献立をたてるだけではないのです。安全な給食の提供のため、安全な食材を選定するところから始まります。

 業務の流れは、

 献立を作る際は、文科省の栄養摂取基準に則ること、予算内で行うことが絶対条件ですが、更に調理時間、人員、使用可能な機械、食器、入れ物などさまざまなことを考慮します。食材の選定は、旬のものを積極的に使用することや、食中毒の危険性がある時期に避けたい食材は入れないことなどに配慮しています。

 センター方式の場合、食数にもよりますが、同日に小学校・中学校が同じ献立を実施する場合と、別の献立を実施する場合があります。

 小学校と中学校で同じ献立が実施できない理由の1つは、食材が一度に納品されても時間内に処理できないという問題があるからです。例えば、カレーに入れるじゃがいもや玉ねぎは、どちらも使う量が多いので大量の処理をしなければなりません。皮をむく、芽を取る、切る、と下処理にかかる時間は膨大となります。

 また、主食を委託している場合は、小中学校の必要数を用意できない、配送できないなどの問題があり、苦肉の策として、別献立の実施となってしまいます。別献立の場合、小学校で揚物があると、中学校では揚物ができない、小学校で和え物室を使うため、中学校は和え物ではなく釜を使ったソテーにするなど献立に制限がかかります。

 教職員などから「麺の時はこの組み合わせが得意だね」等の感想をよく聞くことがありますが、他のメニューを入れたくても入れられないのが現状なのです。

 栄養教職員の努力だけでは、献立に対する意見を実現できない事情があることも知ってほしいのです。

 業者に「この月のこの日あたりにこの商品を使う」という購入計画を上げます。使用しているコンピュータソフトによってはここまでできないところもあり、その場合は手作業で計画を作成しています。

 業者は「このぐらいの量(数)を使ってくれるなら、このぐらいの値段で納入できるので、メーカーにその旨を連絡しておきます」という運びになります。

 食数が多いと受注生産となるので、行事予定などを考えながら購入計画を策定します。指定した日に見積をあげてもらい、値段や品質、産地や工場の所在地など、安全を確認の上、落札。その後契約業務となります。

 契約が終わって初めて発注ができます。発注書の作成はお金に関わるため非常に重責です。栄養教職員は、各家庭から集めた大切なお金を1円たりとも無駄にできないという意識を強く持って業務を行っています。

 作り方はもちろん、調理する釜の数に食材をどのように振り分けるか、食中毒を出さないための調理員の動線、時間までに作り上げ学校に運ぶまでのタイムスケジュール、野菜の切り方など細かい調理指示の書類を作成しています。

 (直営の場合は場長やチーフが作成。委託の場合は委託会社が作成するが、いずれの場合も衛生管理責任者である栄養教職員が最終チェックを行う)

 例えばカレーに入れる人参と炒め物に入れる人参では切り方がちがうため、「これはこの機械を使って何㎜に」「これは何㎝の手切りで」と、メニューごとの指示が異なるため、詳細を記載した書類が必要です。

 上記業務の他に給食だより、「食育」だよりなどの配布物作成というように、給食を作る前まででこれだけの業務をしています。

 センター勤務をしている栄養教職員の働き方で自治体によって大きく異なる点の1つが、学校に行ける日数や時間が比較的多い・なかなか行けない、ということです。学校とセンターでの勤務時間比率は、栄養教職員個人が決められる問題ではなく、教育委員会との話し合い、コンピュータのシステムの問題など、あらゆる条件・要因が関係しています。

 栄養教職員の配置は各自治体にゆだねられていますが、文科省が「食育」を強化するという流れにおいて、遅れをとらないようにと、機構整備や条件整備などさまざまな整理をしないまま配置した自治体も少なくないと思われます。

 栄養教職員が学校配置になった時点で、それまで栄養職員の時に行っていた業務内容のうち、栄養教職員でなければできない業務以外を行うための人員配置(事務員など)、もしくはセンターでの勤務曜日や時間帯などを調整するといった条件整備がしっかりできなかった自治体では、「もっと学校にいる時間を増やしたい」と思っていてもセンターに長時間いなければならない状況の人も少なくありません。しかし、現状では財政的に厳しい中で新たな人員配置を望めないところがほとんどです。

 センターより学校の勤務時間が長い栄養教職員は、学校にいる時間が増えることで、授業に限らず日常的に食教育をすすめることができます。しかし給食管理もしなければならないため、4時、あるいは5時から給食管理業務をすることなります。現在、多くの自治体において給食管理はコンピュータを活用した「給食管理システム」を使用していますが、セキュリティー対策から、給食センターでしか使用できない自治体がほとんどです。その場合は、学校にいられる時間はどうしても短くなってしまいます。

 「栄養教諭制度」を導入する際、それまでの学校栄養職員の職務内容を何ら整理しないまま指導業務が追加されたため、業務が増えたことは明らかです。そのために栄養教職員は超過勤務や休日出勤を強いられている状況なのです。 

                                       【後編に続く】

 栄養教職員は「学校給食衛生管理基準」(2009年文科省告示)による衛生管理の徹底が責務です。そのため、給食の実施(給食を作ること)には、計画時にも増して緊張を強いられます。

 給食を実施するためには、まず食材が発注通り納品されているかの確認(検収)が必要です。検収の際には品質のチェックもします。納品時間や納品時の温度、賞味期限や包装に破損はないか、芋などはランダムに抽出して包丁で切り、中が腐っていないか等、細かくチェックします。検収は調理員が行い、検収責任者である栄養教諭が最終確認を行うことが仕事の流れとしては理想ですが、人員不足のため、検収の全工程に立ち合っている栄養教職員も多く、学校の勤務開始よりも早い7時半、あるいはそれより早い時間に出勤している栄養教職員もいます。

 野菜や肉などは段ボール箱で納品されますが、数量を確認した後は、消毒済の容器にすべて移し替えます。昔は、段ボール箱ごと冷蔵庫、冷凍庫に入れ、使うときには段ボールごと調理場内に持ち込んで作業を行っていましたが、O-157の食中毒事件以降、衛生管理基準が厳しくなり、食材の移し替えも重要な工程となっています。
 これだけの工程が終わって、やっと給食を作る段階になります。

 給食センターでは食材の加工にさまざまな機材を使います。例えば野菜をカットする機械は、分解して消毒・保管している部品に刃こぼれなどがないかなどを点検して装着、安全に取りつけられているかを確認して初めて使える状態になります。野菜を切る前には下処理もしなくてはなりません。芋や玉葱などはピーラーという皮剥き器にかけ、ある程度皮をとったら手作業で、玉葱なら、残った皮をむき、切れ目を入れていきます。また、じゃが芋などは芽とりという工程もあります。そこまでやってはじめて機械で切ることができます。また葉物は1枚1枚葉を外し3層のシンクで洗っていきます。時期によっては青虫やアブラムシ、また葉の中に潜っている通称「葉潜り」を見つけ除去します。また洗ったものに再び虫が付着しないように水をオーバーフローさせながら洗浄していきます。虫が多い時には4回、5回と洗浄することもあります。野菜は時期によって廃棄率が変わることも視野に入れながら発注しますが、思っていたよりも廃棄が多く、必要な分量に足りない等の事態にも、即座に対応できるようにしておく必要性があります。給食は決まった時間にセンターを出発するため、「どうしよう」などと言っている時間はありません。

 調理中は、作業工程書の指示どおりに調理員が動いているか、衛生的に安全か(中心温度は確認したか)、予定どおりの味つけであるか、出来上がりの量は規定どおりか、出来上がりの時間はどうか、と配慮しなければならないことが多岐に渡ります。これらの対応を代わりにしてくれる人は他にいません。そのため、給食調理中の時間帯にデスクワークはほとんどできません。

 給食を予定どおり各学校に配送できても、まだ安心はできません。給食時間が始まったころに学校から電話が入ると緊張が走ります。異物混入か、数不足か、などさまざまな想像が脳裏をよぎります。給食時間に合わせて、給食指導のために勤務校に戻りたくても、そのような事態が起きると、学校に行けなくなります。栄養教職員が食教育にしっかりとりくむためには、配送後の対応は栄養教職員以外が対応できる体制を整える必要があります。

 給食センターの事務所に市町村の職員がいるようなところは、このような事態に対応できます。しかし、栄養教職員1人しかいないセンター、あるいは栄養教職員とパートの事務員などが配置されているセンターにおいては、栄養教職員が対応しなければなりません。かつては、どんなに小さなセンターであっても「センター長」、あるいはそれに相当する人員の配置がありましたが、現在は栄養教職員1人しかいないというセンターも少なくないと聞いています。

 一般教員同様、栄養教職員にとっても超過勤務が「当たり前」となってしまっています。しかし、少数職種ゆえに、この実態を誰に伝えたらいいのかと悩み、改善策も見当たらないまま日々を過ごしている栄養教職員は少なくありません。多くの栄養教職員が、歯を食いしばって耐えながら、「いつかは自分たちが求める栄養教職員になりたい」という気持ちで毎日を乗り切っている状況です。

 1人の声では届かないかもしれませんが、組織化することで届けられる声もあります。
 北教組栄養教職員特別委員会では、学習会を行ったり、現場の声を行政に届けたりする運動をしています。

 毎年恒例の「秋の学習会」が、2018年10月13日に北海道教育会館で開催されました。道議会議員、川澄宗之介さんを講師に招き、2018年3月に道教委が通知「学校における食育推進体制の整備について」を発出した経緯の説明や、現場実態交流が行われました。

 川澄道議からは、栄養教職員の厳しい現場実態について、道教委や市町村教委、そしてセンター長にすら声が届いていなかった状況があったことから、道教委にアンケート調査を行わせたこと、川澄道議による職場訪問などの調査、川澄道議の仲介により実現した栄養教職員と道教委の意見交換会などを経て通知が出されたことについて説明がありました。この通知に至るまでには北教組栄養教職員特別委員会のとりくみが大いに影響したとのことでした。通知は「食教育を推進するため、地教委、配置校校長、共同調理場長が連携して年度初めに栄養教職員の勤務条件等について確認する」ことを指示するものでしたが、参加した栄養教職員からは、「昨年度と比べて、何も変わっておらず、状況は改善されていない」「話し合いはもっていない」など意見が出されました。さらに参加者からは「職員会議と全校給食の時にしか学校に行かない」「職員室の机は他の人と共同使用」「所属校(小学校)が開校記念日で休業日でも、中学校に給食を出すためボランティア出勤を強いられた」「『このままではいいところに転勤させてあげられない』『給料が上がらない』との理由で自己評価の書き直しを命じられた」など改善すべき実態が挙げられました。

 道教委の調査では、「教職員全体で組織的に食育を推進するための体制を整備している」学校が68.2%とのことですが、参加者からは、「全体計画を作っているだけで『整備している』と回答しているのではないか」という感想が出ていました。

 市内・町内まんべんなく平等に食教育をすすめて欲しいと自治体に求められるものの、「給食管理業務で1日が終わる」「自分の所属校の食教育ももっと充実したいと考えている中で、なかなか複数の学校を回る余裕がない」など、問題点ばかりが出てきました。

 栄養教職員は、給食を提供する子ども1800に1人の配置です。食に関する指導を求められるのであれば、人数に対してではなく、担当学級数を考慮して配置しなければ、とても手が回るものではありません。

 特別委員会として一人ひとりの声を大切にし、勤務環境・条件改善に向けて、これからも粘り強くとりくみをすすめていくことを確認し、学習会を終えました。

 始めに、北教組中央執行委員を代表して書記長から、「栄養教職員の業務については大きな課題がある。業務の削減、処遇の改善について北教組全体でとりくんでいく」と挨拶がありました。その後、常任委員会から、第1号議案「2018年度経過報告ならびにたたかいの総括に関する件」が提案されました。今年度も昨年に引き続き、春に新採用者交流会を開催し、3人の新規加入があったこと、また、秋の学習会の実施、ホームページや機関紙「北教」による情宣活動などのとりくみが総括され、承認されました。引き続き、第2号議案「2019年度運動方針に関する件」、第3号議案「2019年度役員選出に関する件」も承認され、委員会を終えました。

 後半は学習会を行いました。まず、2019年1月15日に「北海道栄養教諭の働き方を考える会」が道教委に対して行った、「栄養教諭の労働条件改善を求める要請行動」について、参加者から報告がありました。産休・育休の代替者配置のあり方や、市町村ごとに異なる勤務条件やアレルギー対応、食教育などについて、道教委としてのガイドラインを作成することを提案したことなどが話されました。

 また、道教委は2018年3月、配置校の校長に、栄養教員の勤務パターンについて年度始めに市町村教委・共同調理場長と協議するよう通知しましたが、この協議が栄養教員の勤務条件改善につながる実効性のあるものにするため、本部・支部・支会・分会が一体となってはたらきかける必要があると共有しました。

 交流会では参加者から、町の保育所や高校の給食を担当し休みが取りにくいこと、調理員の人員確保が難しいこと、栄養価・調理工程に配慮しながら地場産食材の目標値を達成する困難さなどが話されました。会長の「受け身ではなく、自分から発信していくことが大事」との言葉に、参加者は大きくうなずいていました。

 栄養教諭制度が始まって10年以上経っても、子どもの食習慣を身につけること、食物アレルギー対応、給食管理業務など、栄養職員の仕事が整理されないまま、栄養教諭の仕事が付加されたことにより、どの市町村においても栄養教職員の超過勤務が常態化しています。また、自治体によって勤務態様が異なり、異動のたびに苦労をすることも少なくありません。

 そのような中、私たちの大きな課題は、組織拡大です。少数職種のため、日常の困っていることに対し1人で声を上げることは、なかなか容易ではありません。また、若年層の栄養教職員は、相談できる相手がいないこともあります。だからこそ、横のつながりを広げ、強く結びついていかなければなりません。今回は、各分会のはたらきかけで、2人の未組織者が参加し、特別委員会の活動内容を知ってもらうとともに、日頃の悩みなどを交流することができました。これからも私たちの活動に参加したことがない組合員、未組織者に参加してもらい、組合に結集する意義を感じてもらいたいと思います。

 2019年5月13日、新採用栄養教諭「おいしい交流会」が開催されました。新採用者16人と先輩栄養教諭4人が参加し、交流を深めました。

 同期や先輩と交流する中で、日々の超勤のみならず、そもそも勤務時間が7時間45分を超えて設定されているなど、見過ごせない事態も明らかになりました。また、献立作成用のパソコンやソフトの不備など、栄養教諭が置かれている勤務条件・環境整備については引き続き、改善を求めることが重要だということがわかりました。

 先輩栄養教諭は自身の体験から、組合に入っていなければ勤務条件の不合理さに気づけなかったことや、必要なことに対して声をあげることの大切さについて語り、「組合に加入していて良かった。少数職種だからこそつながることが大切。ぜひ仲間になりましょう」と締めくくりました。

 後日届いたアンケートに、「新採用者がいつから年休をとれるのか知りたい」という質問が寄せられました。年休に限らず、私たちの権利を学ぶことができるのも組合の良さです。新採用者だけでなく多くの栄養教職員が、北教組栄養教職員特別委員会に集うことを願っています。

 2019「夏の学習会」が、9月7日に北海道教育会館で開催されました。今回は、採用1~2年目の栄養教員を対象に開催し、北教組法制部長・生活賃金部長が講師となって、「私たちの権利・賃金を学ぼう」をテーマに学習しました。

 「職場交渉」「研修」「労働時間」「休暇」「義務免」「女性」の大きく分けると6つの権利があること、その中でも「病気休暇」「病気休業」について、時間をかけて学びました。通算制度が適用される「連続8日」、「クーリングオフ」のカウントの仕方については、クイズを交え、対話をしながら確認することができました。 

 「私たちの賃金」については、給与支給明細書を見ながら賃金のしくみを学ぶとともに、教員に時間外勤務手当がつかない根拠となっている、4%の「教職調整額」「給特法」についても理解を深めました。その上で、賃金にかかわる私たち北教組の運動が、自分たちの生活にとっていかに大切なことなのかも実感することができました。

 栄養教職員は少数職種のため、「休暇などの権利を行使しにくい」「人事評価で勤務実態もよく見られず、下位区分ばかりである」などの実態交流もなされ、組合に結集する意義を再確認することができました。
 特別委員会として一人ひとりの声を大切にし、勤務環境・条件改善に向けて、これからも粘り強くとりくみをすすめていくことを確認し、学習会を終えました。

 2019「秋の学習会」が、11月9日に北海道教育会館で開催されました。今回は、「食に関する指導交流」をテーマに、常任委員から小学校低・中・高学年、中学3年生向けの4本の授業実践が紹介されました。
 低学年向けの授業は、1年生を対象に行った「給食のことを知り、楽しく食べよう」の実践。

 調理場で給食を作っている様子や調理員のコメントをビデオカメラで撮影し、編集。ビデオを見せると同時に、実際に使っている大きな調理器具を子どもたちに持たせることで、「自分たちの給食をこんなに重いしゃもじを使いながら、一生懸命に作ってくれているんだ」といった感想を持ち、給食を食べる様子が変化したという報告がされました。また、子どもたちが、そのビデオを見て学習した様子を撮影し、調理員に見せることによって、自分たちの仕事が子どもに伝わっていることを実感でき、よい実践となったことが報告されました。

 中学年向け「野菜についてもっと知ろう」の実践では、シルエットクイズを導入の段階で実施することで子どもたちに興味関心をもたせ、展開で「食育エプロン」を使い理解を深めたことを、高学年向け「清涼飲料水と仲良くつきあおう」では、スティックシュガーの実物を使うことで砂糖の量を実感させることや、色覚特性に配慮した教材が紹介されました。中学3年生向け「受験期の食事」の実践では、午前中から頭をはたらかせられる食事内容について、パワーポイントを使い、効果的に指導する方法が紹介されました。

 いずれの実践も、子どもが興味・関心をもち、学習内容を理解するために工夫されており、参加者は熱心にメモをとっていました。
 その後、設けられた交流時間では、紹介された教材の作成や資料収集の方法、実験教材を効率良く配布をする方法など、活発な情報交換がなされました。

 さらに、第69次合同教育研究全道集会の参加報告では、2人の正会員から話がありました。今次初めて、最終日に行われた「理科教育」分科会と「環境・公害と食教育」分科会が合同で論議したことにふれ、「安心・安全な給食のためには、衛生面だけでなく、野菜の農薬についても目を向けるという視点を新たにもらい、有意義な時間となった」などと報告されました。

 今後も、北教組栄養教職員特別委員会として、あらゆる機会を通して実践交流を行い、子どものいのちと健康、食の安全に視点をおいた自主編成運動における食教育をすすめるとりくみをすすめていきます。

 2020年2月1日、北海道教育会館において、栄養教職員特別委員会の委員会と学習会が行われました。

 2019年度のたたかいの総括では、教育予算交渉において、栄養教職員の超勤常態化に対する抜本的な業務削減策を求め、業務の効率化・負担軽減の必要性を道教委に認めさせたことや、夏と秋の学習会において、権利と賃金、食教育について学んだことが提案されました。また、今年度、5人の新加入があったことが報告され、20年度も引き続き、組織拡大に全力でとりくむことが確認されました。さらに、2020年度役員選出に関する件では、各支部の組合員数のバランスや、活動の継承を考慮し、今後は①1ブロック、②2ブロック、③3・4ブロック、④網走支部、⑤網走以外の5ブロックからそれぞれ選出し、2年任期で役員を務めることを決定しました。

 学習会では、「胆振東部地震における給食センターの対応について」と題し、鵡川中央小分会 組合員が、震災直後の対応を報告しました。大型機械が倒れたりセンターが水浸しになった状況、簡易給食から通常の給食に戻るまでの経過などについて説明し、いつ、どこで起きるかわからない災害に対する栄養教職員としての日頃の準備や意識の持ち方について学び合いました。

 当日は中川浩利道議と木葉淳道議も参加しました。組合員からは、給食センターの合理化の問題や職場の多忙化などを訴え、勤務条件改善に向けて連携してとりくんでいくことを確認しました。

 2020年9月26日、十勝教育会館において、十勝支部栄養教職員学習交流会が行われ、栄養教職員組合員と未組織栄養教員2人が参加し、北教組栄養教職員特別委員会からは、会長と担当中央執行委員が参加しました。今年度は新型コロナウイルス感染症の影響で、特別委員会として札幌市に集まる学習会を開催できていないことから、組織強化・拡大や学びを深める貴重な機会となりました。

 学習会①では、「栄養教職員の勤務条件改善に向けたとりくみ」というテーマで、本部栄養教職員特別委員会担当中央執行委員が説明をしました。栄養教諭制度が始まる前も、始まってからも、組合の交渉によって勤務条件改善がなされていること、しかし、まだまだ多忙化は解消されておらず、とりくみを続けていかなければならないことやそのために組織拡大が必要なことが確認されました。

 学習会②では、参加者が日頃の悩みを出し合い、栄養教職員特別委員会会長が、アドバイスを伝えました。 

 調理員との連携や栄養教職員以外の教職員との情報共有、管理職の栄養教職員の勤務への無理解などの課題に対し、参加者は「ある、ある」とうなずいていました。

 学習会の最後に会長が、「組合に入り、栄養教職員がつながらないといけない。1人では納得のいかないことを受け入れざるを得ないなど、負けてしまう」と強く語りました。

 会の後半は、おいしいお弁当とケーキを食べながら、2グループに分かれ、交流会を行いました。話す時間が足りないと感じるほど盛り上がり、また、未組織者にも北教組のとりくみについて興味をもってもらえる会となりました。

 2021年12月18日(土)、栄養教職員特別委員会 冬の学習会がWebで開催されました。はじめに、特別委員会常任委員より、11月に行われた日教組栄養教職員研究集会の参加報告がありました。

 次に、日教組栄養教職員部 担当中央執行委員を講師に、「『コロナ禍』における栄養教職員の働き方~全国の情勢について」というテーマでお話をいただき、その後、全道各地の実態を交流しました。

 講師からは、栄養教諭の配置基準や配置状況の問題について、詳しく教えていただきました。

 教職員は、学級数により配置人数を決めているのに対し、栄養教員は、児童生徒数で決められています。栄養教員の仕事は給食管理だけではなく、食の指導やアレルギー対応など多様化し、仕事量も必要性も多くなっており、担当する全ての学級に対し、年1回食教育ができていない状況です。そのため今後は、基礎定数の算定を児童生徒数から学級数にすることや、各学校に1人の必置を求めていく必要があるとのことでした。

 配置状況は、教員採用試験と任用替えにより増えて来ていますが、自治体によっては少ないところもあります。採用試験の20年度倍率は、8.1倍ということで、制度は定着しているものの、採用数が伸びていない実態があるということです。また、「栄養教諭」としての採用選考を実施していない・募集していない県や、政令指定都市もあります。

 日教組による20年度の文科省要請では、「栄養教諭職員の配置人数」「給食センターで幼稚園の分も調理していることについて」「施設設備整備の予算確保」「給食センターの大型化の問題」「育休代替」等について要求しているということです。

 日教組が20年度に実施した「定数改善にむけたアンケート調査」では、「休校中に無理な給食実施を迫られた」「黙食をしながらの給食時間の指導には限界がある」など「コロナ禍」での対応について、各地から様々な声があがっていたことを教えていただきました。給食運営には、タイムリミットや忙しさがあることを管理職等が理解していないことも指摘されていました。

 実態交流では、休校にともなう給食の変更や、調理員がコロナに感染した場合の対応などについて交流しました。休校や行事の変更等により、無理な給食の対応を迫られ、できないことを伝えると、教育長命令が出された事例や、翌日の臨休の決定が遅い時間に決まり、自宅から業者に連絡をして何とか対応した事例など、それぞれの地域で大変な状況があったことがわかりました。

 講師からは、「今回、どんな決定権がはたらいたのか、どういう対応をしたのかを検証しておくことが大事」ということを教えていただきました。また、給食費会計は公会計と私会計があり、給食の対応にも影響が出ているということが話題になりました。給食費の徴収についても、学年によって日数が違っていても一律の金額を徴収しているところや、日数分だけ徴収しているところ、年間の日数を決めて徴収するなど対応に違いがあります。各地域の状況を交流したところ、公会計の方が、お金に左右されず、見通しをもって計画を立てることができるという意見が多かったです。文科省は、自治体に対して公会計にするようにはたらきかけてはいますが、努力義務のため、市町村が動かないという実態があります。今後は、公会計化を求めていく必要があります。

 コロナの終わりが見えない中、これからも緊急な対応を迫られることがあると予想されるので、今までの対応を検証することと、マニュアルなどの準備をしておくことの大切さを認識することができ、充実した学習会となりました。