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 文科省は、第200回臨時国会に上程する「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案」(以下、「給特法改正案」)を公表した。その内容は、「働き方改革」を推進するためとして、①現行第5条の「地公法」の読み替え規定を整備し、自治体の判断で条例により教育職員に対して1年単位の変形労働時間制を導入できるようにする(2021年4月1日施行)、②7条を新設し、「勤務時間の上限に関するガイドライン」を「業務量の適切な管理等に関する指針」(以下「上限ガイドライン(指針)」)に格上げし文科大臣が策定及び公表する(2020年4月1日施行)、とするものである。

 文科省は、「上限ガイドライン(指針)」の遵守に向け、現状小学校で月約59時間、年約800時間の所定勤務時間外の「在校等時間」を月45時間、年360時間以内にする業務の削減を行った上で、学校行事等で業務量の多い時期(計13週を想定)の所定の勤務時間を週当たり3時間増加させ、その分の39時間(約5日分)を長期休業期間中(8月)に休日の「まとめ取り」として実施することをイメージしている。また、文科省は、2022年を目途に勤務実態調査を実施し「給特法等の法制的な枠組みを含め、必要に応じて検討を実施する」とした。

 これらは何れも教員の超過勤務を解消するものではなく、むしろ超勤実態を追認し、超勤を固定化・常態化させかねないものである。また、何ら「上限ガイドライン(指針)」の遵守に向けた具体的な業務削減も示されていないことから、小学校の月約59時間の超勤を月45時間時間以内にすることすら困難であり、部活動などにより月約81時間の超勤がある中学校においては机上の空論と言わざるを得ない。さらには、文科省が「閑散期」と考えている長期休業期間中についても、教員は部活動や官制研修、会議・打ち合わせなど様々な業務に忙殺されている現実にある。その上、労基法上、「1年単位の変形労働時間制」導入にあたっては、労働組合との「協定」を必要としているにもかかわらず、文科省は「勤務条件条例主義」を口実に労基法上の労使交渉・協定を蔑ろにする姿勢を示している。加えて、北海道においては、これまで労使交渉を経て、修学旅行など深夜・早朝に及ぶ超勤に対しては、「4週の期間における勤務時間の割振り変更(1ヶ月単位の変形労働時間)」により、週休日における勤務に対しては「週休日の振替・特例」により、可能な限り直近に1日単位の実質的な回復を措置させてきた経過があり、1年単位の変形労働時間制導入によりこれらの制度の改悪となることが懸念される。何より「本来業務」自体が過多となり、正規の勤務時間内に終えることができずに超勤が常態化している実態を改善しなければならない。

 以上のことから北教組は、正規の勤務時間内ですべての業務を終えることができるよう大幅な業務削減を求め超勤の常態化に歯止めをかけるよう全力でとりくむ。そのため、引き続き「長時間労働是正キャンペーン」により世論喚起をすすめ、教職員定数増、教員一人あたりの持ち授業時数の削減、部活動の社会教育への移行など抜本的な超勤解消策を求めていく。

 「1年間の変形労働時間制」に対しては、少なくとも長期休業期間中の業務の大幅削減により「繁閑の差」をつくり、やむを得ず行った超勤に対しては、直近の回復を基本に長期休業期間においても実質的な回復を行うことで、教職員が確実に休むことができる制度とするようとりくむとともに、長期休業期間中の校外研修の措置を求めとりくむ。「指針」に対しては、文科省が所定の勤務時間外の「在校等時間」を労基法上の労働時間ではないとしていることに対し、明示の命令の有無にかかわらず、やむを得ず行った超勤については労基法上の労働時間とするよう「給特法」の廃止、若しくは第3条・第5条の抜本的な見直しを求めていく。また、「1年間の変形労働時間制」「上限ガイドライン(指針)」については、各級における労使交渉事項であることの周知・徹底を求めるとともに、超勤解消策については常に当局にその効果の検証と不断の改善を迫り、実効あるものとさせる必要がある。そのため、「給特法改正案」の問題点を追及し一方的な導入とさせないよう、日政連・北政連議員と連携し、日教組とともに院内外のとりくみを強化し、全力でとりくむ。

以 上

  2019年10月23日

                                      北海道教職員組合