■■ 北海道教職員組合【北教組】へようこそ

ページトップへ戻る

 政府・与党は12月4日、第200回臨時国会参議院本会議において、多くの課題が日政連議員等から指摘される中、国会会期末が迫っていることを理由に「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案」(以下、「給特法改正案」)を与党・日本維新の会による賛成多数で可決・成立させた。

 「給特法改正案」は、超勤時間を「月45時間、年360時間以内」と定めた「上限ガイドライン」を指針化するとともに、都道府県毎に条例により教育職員に「1年単位の変形労働時間制」を適用可能とするものである。文科省は、「上限ガイドライン」の遵守を前提に、課業中の一部の勤務時間を延長(例示では週3時間13週で計39時間延長)し、その分で長期休業期間中に休日の「まとめ取り」(5日)を可能として教職員の勤務実態を改善するとしている。

 しかし、これらはいずれも何ら超勤を削減するものではなく、むしろ、現状の超勤実態を追認し、固定化・助長しかねないもので、断じて容認できるものではない。この間の国会における日政連・北政連議員などの追及により、衆参両院において「1年単位の変形労働時間制の導入が、(中略)長期休業期間中等に休日を与えることを目的としている」など多くの附帯決議をつけさせたが、そもそも抜本的な超勤解消につながるものではない。

 政府・文科省は、「1年単位の変形労働時間制」導入の大前提は「上限ガイドライン」の遵守としているが、これまでの審議において「月45時間、年360時間以内」とするための具体的な業務削減策は何ら示されていない。

 文科省は、スクールサポートスタッフの配置などによって、年間360時間の在校時間の縮減が可能としたが、週27時間の授業を担当するなど所定の勤務時間のほとんどが子どもと接する時間となっている小学校教員にとって、授業時数が削減されない限り改善は見込めない。また、部活動指導員等外部人材の活用によって、年間160時間の在校時間の縮減が可能としたが、中学校において部活動指導員が配置されている学校が依然として2割程度にとどまっている地域も多く、学校に一人の配置では効果は期待できない。文科省の想定は、現場実態と著しく乖離した机上の空論と言わざるを得ず、現状「月45時間、年360時間以内」が遵守されるとは到底考えられないことから、1年単位の変形労働時間制導入はその前提を欠いている。また、仮に夏休みの「まとめ取り」が可能となったにしても、超勤の回復は直近に行わなければ過労死や健康被害を防ぐことができないのは明らかである。

 北教組は、独自要請も含め日政連「水岡俊一」、日政連・北政連「勝部賢志」議員らと連携し国会対策を強化してきた。「給特法改正案」にかかわる日政連議員等の追及に対して文科省は、勤務時間は勤務条件であり「地公法」55条に規定される交渉・協定の対象であることは認め、「導入に当たっては各地方公共団体において、職員団体との交渉を踏まえつつ検討されるもの」「校長がそれぞれの教師と対話をし、その事情などをよく酌み取ることが求められる」などとしたものの、各級段階での交渉が必須であるとまでは明言しなかった。

 また、この間の追及により、所定の勤務時間外に明示・黙示に拘わらず校長の指揮・命令下で行った業務は、「校務であるが、地公法(労基法)上の労働時間にあたらない」とする文科省の不当答弁など、「給特法」の矛盾と、矛盾をそのままに今回の「改正」を行うことの不合理が一層明らかになり、参院において「三年後を目途に教育職員の勤務実態調査を行った上で、本法その他の関連法令の規定について抜本的な見直しに向けた検討を加え、その結果に基づき所定の措置を講ずる」との附帯決議をつけさせた。

 北教組は、道教委交渉を強化し、2020年の「上限ガイドラインの指針化」、2021年「1年単位の変形労働時間制導入」の一方的な条例化を許さず、超勤排除に向け大幅な業務削減を求めるとともに、「原則時間外勤務は命じない」「命ずる場合は限定させる」ことを遵守させ、やむを得ず行った超勤に対しては直近に実質的な回復を措置させるよう全力でとりくんでいく。また、「長時間労働是正キャンペーン」により世論喚起をすすめ、引き続き「タダで働かせ放題」を容認する「給特法」の廃止・抜本的見直しを求めるとともに、部活動の社会教育への移行をはじめとした大幅な業務削減、教職員定数増などによる教員一人あたりの持ち授業時数の削減など、抜本的な超勤解消策を求め運動を強力にすすめていく。

以 上

  2019年12月5日

                                        北海道教職員組合