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 道教委は6月4日、2020年度から3年間の「公立高等学校配置計画案」および2020年度「公立特別支援学校配置計画案」を公表した。

 「公立高校配置計画案」は、昨年度決定した20~21年度の計画によって39校で40学級減を行う上で、①21年度に伊達(3学級)と伊達緑丘(4学級)を再編統合し新設校(6学級)を設置する、②羅臼は20年度の募集学級数が1学級の場合に地域連携特例校とする、③既に1学級減を決定している中標津と苫小牧工業(定時制)で学科転換を行う、④福島商業(地域連携特例校)の再編整備を留保する、などと変更した。今年度の2次募集後に1学級相当の欠員が生じ学級減となった長沼など26校の20年度の学級数は、9月の計画決定時に公表するとした。また、新たに公表した22年度については、①20年度に学級減としている札幌月寒・北陵・手稲・丘珠の4校および恵庭北を各1学級増とする、②釧路北陽(市立)の「フィールド制」を見直し普通科「単位制」とする、とした。

 これらは、今後3年間で、「これからの高校づくりに関する指針」にもとづき「1学年4~8学級」を適正規模として、中卒者数を口実にした機械的な間口削減や調整と、再編統合・学科転換などによる学級減を強行するもので断じて容認できない。

 伊達と伊達緑丘の再編統合は自治体の検討結果を勘案したものとされているが、そもそも「指針」にもとづく統廃合に向けた圧力によってやむを得ず判断したものであり、今後、複数の高校を抱える自治体への波及が危惧される。また、福島商業について、「所在市町村をはじめとした地域における、高校の教育機能の維持向上にむけた具体的取組とその効果を勘案」し、再編整備を留保するとしたことは、高校教育を保障する責務を放棄し当該自治体に存続の努力を強要するとともに、入学を希望する子どもや保護者に不安を与え進路変更を余儀なくさせるもので、統廃合へ向けた勧告に過ぎない(昨年度も6校が留保)。

 大幅に人口減少がすすむ道内において、こうした機械的な再編統合や間口削減を行う「公立高等学校配置計画」が、一層高校を減少させ地域の疲弊・衰退を加速させてきた。道教委は、今後開催される「第2回地域別検討協議会」において地域の声を真摯に受け止め、知事部局等と連携し高校存続に向けた体制を早急に構築するべきである。

 「公立特別支援学校配置計画案」は、20年度については、全しょうがい児学校61校で5学級5人の定員減とした。これは、肢体不自由児および病弱児学校で15人の定員減の一方で、知的しょうがい児学校47校において10人の定員増としたことによるものである。また、「特別支援学校」が未配置となっている苫小牧市において、21年度に小・中学部の知的しょうがい児学校を新設するとしており、将来的には高等部の設置につながることが予想される。さらに22年度は、「道央圏で6学級相当の定員の確保を検討する」としており、分離・別学を一層すすめる姿勢を示している。

 19年度の特別支援学校入学者数は、中卒者が年々減少傾向(18年44,989人、19年44,255人)にあるにもかかわらず、1,282人(18年1,268人)と14人増加した。このように、文科省・道教委のすすめる「特別支援教育」が「分けることは差別につながる」とする「国連障害者権利条約」の理念に反し、どの子も共に学ぶ「インクルーシブ教育」を阻害している実態は許されるものではない。道教委は、しょうがいのある子どもたちの地元の普通高校への入学および進級・卒業に向けた「合理的配慮」など、教育環境整備を早急に行うべきである。

 北教組は、「これからの高校づくりに関する指針」や「配置計画案」が、受験競争の激化や高校の序列化を加速させるとともに、子ども・保護者や地域住民の高校存続を求める声を無視するものであることから、引き続き、道教委に対し撤回・再考を強く求める。また、ゆたかな高校教育の実現をめざし、どの地域に暮らしていてもしょうがいのある・なしにかかわらず希望するすべての子どもが地元で学べる「地域合同総合高校」の設置など、子どもの教育への権利と教育の機会均等の保障をめざし、「道民運動」を一層強化していく。
  2019年6月5日

                                      北海道教職員組合