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 文科省は8月31日、21年度「全国学力・学習状況調査」の結果を公表した。文科省は全国の状況について、「改善の傾向が見られたものがある一方、依然として課題が認められるものがある」などと例年と何ら変わらない分析を行った。文科省は「調査」の目的を「学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる」としているものの、この間、各都道府県教委は学力調査の「目標値」を設定し、「学力向上」の名の下、過去問題のくり返しや事前対策、学習規律の徹底など画一的な「授業改善」を現場に強いている。

 道教委も同日、文科省の公表に追随し「全国学力・学習状況調査 調査結果のポイント」を公表した。教育長のコメントでは「すべての教科で全国平均に届いていない状況にある」「誰一人取り残すことのない教育活動の充実に向けた一層の取組が必要である」「コロナ禍においても学びを止めない指導体制を構築しつつ、GIGAスクール構想で整備された1人1台端末などICTを効果的に活用した授業改善などをすすめる」などとした。

 道教委がすすめる全国学力調査の実施・結果公表は、学校現場を過度な競争的環境に置くもので、学びの主体となるべき子どもは、蔑ろにされ続けている。また、「学力向上策」として「望ましい生活習慣の確立」を押しつけることで、子どもたちは息苦しさを感じている。こうしたことが要因となって、「いじめ」「不登校」の増加に歯止めがかからない現状を生じさせている。道教委は、「誰一人取り残すことのない教育活動の充実」としているが、これまでの教育施策を振り返り、過去最大の件数となっている「いじめ」「不登校」の解消にとりくむべきである。さらに「調査」の目的が、「全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る」のであれば、「貧困と格差」が「教育格差」につながっていることを分析し、施策に反映させることを最重要課題としなければならない。しかし、一向にこうした検証・分析は行われず、「ICTを効果的に活用した授業改善」など一方的に画一的な施策の強要に終始している。

 今求められるのは、教える側の発想ではなく、子どもの学びを最大限引き出すための子どもの側に立った施策に転換することである。そのために「点数学力の向上」ではなく、学校・子どもの安心・安全を確保し、子どもたちが学びの主体となる環境を整えること、教職員に十分なゆとりをもたせることが急務である。

 道教委は、「全国学力調査・結果公表」とそれにもとづく「点数学力向上策」の押しつけを即刻中止し、各学校の自主的・創造的な教育活動と一人ひとりの子どもに寄り添う実践を保障するとともに、教職員をはじめ、保護者・地域の声を真摯に受けとめるべきである。また、「子どもの貧困」解消と「教育格差」是正をすすめ、定数改善や「給特法」の廃止・見直し等、超勤・多忙化解消のための法改正を文科省に求めるなど、本来すべき勤務条件・教育条件整備に徹するべきである。

 北教組は今後も、子どものゆたかな学びを阻害する「全国学力調査」に反対し、憲法・「47教育基本法」・「子どもの権利条約」の理念にもとづく「わかる授業・たのしい学校」「差別選別の学校から共生・共学の学校」をめざして、「主権者への学び」を基盤とした教育実践を積み重ねるとともに、教育を市民の手にとりもどすための広範な道民運動をすすめていくことを表明する。

 2021年9月3日

                                      北海道教職員組合