■■ 北海道教職員組合【北教組】へようこそ

ページトップへ戻る

 道教委は6月7日、2023年度から3年間の「公立高等学校配置計画案」および2023年度「公立特別支援学校配置計画案」を公表した。

 「公立高校配置計画案」は、20年度「配置計画」で再編整備留保となっていた穂別を25年度に募集停止すると新たに公表した。また、23年度については、天塩と弟子屈を地域連携特例校の導入と変更、24年度については、①利尻を商業科1学級減、②釧路商業の4学科を1学級減とし学科転換、③釧路湖陵、大樹の学科転換による普通科新学科設置、とした。25年度については、①深川東、室蘭工業を1学級減、②岩見沢東1学級減としていた計画を岩見沢西と再編して2学級減し、岩見沢緑陵を1学級増、③富良野と富良野緑峰を再編し5学級の新設校、などとした。また、夕張・長万部・豊富・倶知安農業については、「所在市町村をはじめとした地域における、高校の教育機能の維持向上にむけた具体的取組とその効果を勘案」して再編整備を留保するとした。

 これらは、「中卒者数の状況、学校規模、募集定員に対する欠員の状況、地元からの進学率」など数字のみをもとにした機械的な判断で、募集停止とされる地域の子どもたちは、遠距離通学や下宿などによって保護者の財政的負担も増加する。また、北海道の多くの地域は、公共交通機関の便が限られ通学に時間を取られることで、友人との時間や学習時間等が奪われ心身共に負担が大きい。さらに、管外への進学者も増加し、人口減少・都市部への一極集中がさらにすすむことから、都市部を除く地域は疲弊・衰退が加速するとともに、子どもの学びが侵害されている。再編留保は、該当地域に対して継続した自助努力を求めるものと言わざるを得ない。また、子どもたちのためではなく、道教委に留保を認めてもらうための学校づくりをすすめてしまう危惧がある。

 「これからの高校づくりに関する指針」にもとづき「1学年4~8学級」を適正規模として中卒者数の減少を口実にした機械的な間口削減と再編統合などによる学級減を強行し続けることは、これまで以上に高校の序列化に拍車をかけ差別選別を一層すすめるものである。少子化がすすんでいる実態があるものの、機械的な間口削減や再編統合、募集停止によって通学が困難になったり遠方へ進学せざるを得ない子どもを生じさせることは看過できない。だからこそ「指針」を抜本的に見直し、少人数でも運営できる学校形態を確立する必要がある。その一例として北教組は、近隣複数校が連携し、1年時は共通科目を地域の校舎で、2年時以降進路希望に応じて子どもが他校舎を行き来できる「地域合同総合高校」を提唱してきた。

 「公立特別支援学校配置計画案」は、23年度の進学希望見込数を1,374人とし、定員を全しょうがい児学校61校で1,690人(昨年比2学級6人増)とした。職業学科を含む知的高等支援学校24校では、22年度と同様、定員を904人とした。また、24年度には「道央圏で2学級相当」「道北圏で1学級相当」の定員の確保を検討するとしている。中学校卒業者数の推計は減少し続けているにもかかわらず、しょうがい児学校の定員が増加していることは、一層分離・別学に拍車をかけるものである。これは、文科省・道教委のすすめる「特別支援教育」が、「分けることは差別につながる」とする「国連障害者権利条約」の理念に反し、どの子もともに学ぶ「インクルーシブ教育」を阻害している。道教委は、しょうがいのある子どもたちの地元の普通高校への入学および進級・卒業に向けた「合理的配慮」など、教育環境整備を早急に行うべきである。

 北教組は、「これからの高校づくりに関する指針」や「配置計画案」が、受験競争の激化や高校の序列化を加速させるとともに、子ども・保護者や地域住民の高校存続を求める声を無視するものであることから、引き続き、道教委に対し撤回・再考を強く求める。また、どの地域に暮らしていてもしょうがいのある・なしにかかわらず希望するすべての子どもが地元で学べる「地域合同総合高校」の理念を生かしたゆたかな高校教育の実現と子どもの教育への権利と教育の機会均等の保障をめざし、「道民運動」を一層強化していく。

 2022年6月8日

北海道教職員組合